第5回 最新へルスケア事情 ―特定保健用食品~サプリメントと薬~―

 最近、「トクホの大嘘」と題した特定保健用食品(トクホ)に関する記事が週刊誌に掲載され、一部で話題になりました。記事では、トクホ素材「難消化性デキストリン」を取り上げて「効果なし」と断定しており、健康食品業界に少なからずインパクトを与えたようです。
■期待する消費者と過大な広告表現
 週刊誌の記事では、「有意差」の定義や「血清中性脂肪値」の意味合いなどが一般の読者にはわかりにくく、誤解を与える可能性がありました。なかでも、トクホの効果を確認するために、普通食と負荷食の2群に分けて行われた試験条件の負荷食部分だけを取り上げ、「食事内容が恣意的」としているのには疑問があります。国立健康・栄養研究所も、「難消化性デキストリンの効果を期待するのであれば、機能性が期待できる対象者、食品中の難消化性デキストリンの含有量、摂取方法に留意することが重要」としています。

 トクホを始めとする健康食品やサプリメントに過大な期待を持つ消費者がいることは事実で、それを助長するような販売側の広告表現があることも無視できません。そもそも、わが国におけるサプリメントや健康食品とはどのような位置付けなのか、はっきりしない部分もあります。
■三次機能を持つ食品が「機能性食品」
 アメリカでDSHEA(Dietary Supplement Health and Education Act:栄養補助食品健康教育法)が制定されたのは、1994年。当時サプリメントといえば食事で不足した栄養素を補完する栄養補助食品を指していました。一方、日本ではDSHEAに先駆けること10年。1984年に当時の文部省が発足させたプロジェクト「食品機能の系統的解釈と展開」の中で、食品の持つ体調調節機能が明らかにされています。

 食品の持つ機能性を、生命維持のための栄養補給を目的とした一次機能、味や香りなどの感覚を楽しむ二次機能、疾病の予防や回復、老化抑制などの体調調節機能を三次機能とし、なかでも三次機能を持つ食品を機能性食品と定義したのです。

 ところが、「万病に効く」「がんが治る」など、あたかも特効薬であるかのように虚偽の効能を謳う健康食品が横行したため、1971年には無承認無許可の医薬品を厳しく取り締まる、いわゆる「46通知」が当時の厚生省から発行されました。
■サプリメントの健康リスク
 現在、科学的根拠のある機能性食品であっても効果効能は一切謳うことはできません。

 しかし、カプセルや錠剤のサプリメントのなかには特定の成分を濃縮し、一般食品とは比べものにならない量を含有するものも少なくありません。高濃度高容量を摂れば副作用のリスクがあり、医薬品との相互作用も問題になります。

 開発に莫大なコストと期間をかけた医薬品と違い、効果を最大限発揮するための精密な設計はされておらず、安全性の評価も十分とはいえないのがサプリメントであり、原則として健康リスクは利用者負担です。大嘘と揶揄されたトクホですが、インターネットなどで販売されているダイエット食品やサプリメント、健康食品のほうがはるかに危険です。

 猛毒の水銀やヒ素を用いて医薬品をつくり、毒性学の粗といわれたスイスの医師、パラケルススはこう言います。「この世に毒でないものはない。服用する量こそが、毒であるかどうかを決めるのだ」と。